DEGENERATION  ディジェネレーション …堕落、堕落する (英和辞典より)

STORY

01

「……私のこと、もう、飽きちゃったかな?」
 茶化したような、でも、どこか真剣にも思える問いかけ。

「そんなこと、ねえよ」

 朱美がシャワーを浴びている音を聞きながら、新しくタバコに火をつける。
「飽きたわけじゃあ、ないんだよ」

(アイツの身体、もうほとんど完成してるのがつまんねえ。楽っちゃ あ楽だが、一から俺が仕込んでみたいってのは、確かにあるな)


02

 葵は今年21歳になったばかりの、俺直属の部下だ。本当は 他にも部下はいるのだが、あまり役に立たないので、大抵は葵と組んで仕事をすることが多い。

「その、二人きりでお願いしたいのですが。大事な……話なので」

 俺がもう少し若ければ艶っぽい期待に胸躍らせるのだろうが、そこ までおめでたい思考回路は所有していない。

(仕事のこと……だろうな)


02

「ふ、ん……」

 告げられた額は、確かに大きかった。普通の家庭では、まず返済に 苦労するだろう額だ。しかし、俺には無理な額でもなかった。

「もちろん、タダではない。交換条件だ。私の出す条件をキミが満 たせるならば、の話だよ」

 消え入るような声と染まる頬。葵は強張った笑顔で、俺に頭を下げた。

「よ、よろしくお願い、いたします」


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